輪島塗スピーカー

FAQ(よくいただくご質問)

メールでのご質問と併せて、輪島塗スピーカーご使用中のお客さま、オーディオメーカーの技術者の方々、テレビ、ラジオ、新聞記者の方々のご質問と、その回答をまとめました。

工程別共振周波数比較表の見方を教えてください。

実際に測定してくださった、キャビネットの重要性を理解して協力してくれているスピーカーシステム設計者の解説です。

材料特性の読み方は以下のとおりです。

一次共振の周波数がその材料の強さに比例します。

本来は、二次以降も100×150×18の大きさと縦、横、厚さの剛性(=強度)に比例した共振が出ます。
ヒバ無垢材は一次ははっきりと出ていますが、二次以降は不明確な出方です。

これは材料の横と厚さ方向の強度が低く(木目方向だけに強い)、内部損失が大きい(やわらかく、粘土のような性格)からです。
布着せや一辺地では、一次共振が上がる(強度が上がり)と共に二次の共振が明確になっています。
(なお、一次共振周波数上昇の割合から剛性の上昇率が求められます。)

無垢材そのものは変化していませんから、表面の性質となります。

ここからは推測です。
板材を叩いたり、スピーカー内部からの振動が表面に達した場合、表面の強度が全方向に高いと振動は表面を均等に走るので、分散され特定の強調感を持たなくなります。
この結果、自然な響きや板材が無いような響きに聞こえると推測しています。

別の言い方をすれば、柔らかいヒバの表面に自然の漆の強い表面を造ることにより、とても自然な響きで箱がないように聞こえるキャビネットになっていると言えると思います。

もっと早く・安く作る方法はないのですか?

作っている私自身、確かに高価だと思います。
ただ、おそらく同じ内容積のキャビネットで世界で最も材料費と製作時間の掛かったキャビネットであると言える、とも思います。

品質の低い木材や漆を用いると明らかに音質、耐経年変化、工芸品としての品位が著しく劣化します。
また、良質の木材と漆を使う以上、手間を惜しんではその真価を発揮できません。

品質を犠牲にして、早く・安くの要求に応えることが、お客さまのニーズに応えることではないと考えています。
コストに重きを置くのであれば、天然素材を手作業で加工する輪島本堅地にこだわる必要はまったくありません。
大量に早く・安く、製造できるという点において、MDFや合板、化学塗料は非常に優秀です。

余談ですが、私は合板や化学塗料でキャビネットを自作していて、それに飽き足らなくなり漆の世界に入った人間です。
ですから最初は、もっと簡単に早くできるものだと考えていました。
ところが、試作を始めた頃、(トップページにもあるように)木の反りや歪みにかなり苦しめられました。
まだ新潟にいた頃ですが、同じオーディオ店に通っていた宮大工の方に木のことをいろいろ教わりました。

木は充分乾燥させ、上手く使ってやれば樹齢と同じ年数木材としての寿命があること。
建立から千三百年以上経つ法隆寺などの歴史的社寺建築の多くが、柔構造により地震による倒壊を間逃れてきたこと。

いろいろとお話を聞くにつれ、それまで私の眼に回りくどく、非科学的に映っていた指物や漆塗の工程の一つ一つは、多くの無名の職人達が試行錯誤し、木と漆の特性を生かしきるために考え抜いた言語化も数値化もできない「五感による科学」であることに気づきました。
その頃、輪島塗の布着せと地の粉による下地が、キャビネットの剛性向上と振動減衰に効果があるのでは?
と考えはじめていたですが、輪島に行く決心がつかなかった私の背中を押してくれたのもこの宮大工さんでした。

そのほか、お問い合わせいただいたご質問について、ブログにて更新しております。

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